「look for」と「look at」の違いが英語交渉のカギを握る?

「negotiation / 交渉」成功のイメージ ビジネス英語

英語での年収交渉やビジネスでの価格交渉では、「look for」と「look at」の使い分けがポイントとなります。


この記事では、希望条件の提示に使える「 look for」と、検討可能な範囲を示す「look at」の違いを、実践的な交渉例とともに解説します。


外資系企業への転職の際の英語面接の際、貿易実務や購買業務での交渉の際にぜひ参考にしてみてください。

スポンサーリンク

「look for」と「look at」の使い分けを理解

「look for」の使い方

「look for」は、希望する金額や条件を伝えるときによく使われます。特に年収交渉では、最初に希望額を示す際によく登場します。

この表現は、通常「I am looking for ~」のように現在進行形で使われ、「今、探している・希望している」といったニュアンスを含みます。

理由1:一時的な行動を表す

  • 現在進行形は「今まさに探している」状態を示すため、転職活動や交渉の文脈に適しています。
  • 「I was looking for」と過去形にして丁寧さや控えめなニュアンスを出したい場合もあります。しかし、「過去に探していた」と誤解されやすいため、現在の希望を伝えるには不向きです。そのため、現在の希望や意図をはっきり伝えたい場合は、素直に「I am looking for」を使う方が自然で一般的です。

理由2:自然な表現として定着

  • 「I look for a salary of ~」も文法的には正しいですが、やや堅く聞こえるため、「I am looking for ~」の方が一般的で自然に響きます。
例文
  • I am looking for a salary in the range of ¥5 million to ¥6 million.
    500万〜600万円の範囲で年収を希望しています。
  • I am looking for a salary in the range of \5 million.
    500万円台で年収を希望しています。

「look at」の使い方

「look at」は現実的な選択肢として検討する際に使います。年収交渉などでは、最初の希望額とは違っても「この範囲なら検討できる」と柔らかく伝えたいときによく使われます。価格や納期など、さまざまな条件にも使えます。

特徴として、「look for」が「I am looking for」のように現在進行形で希望をはっきり伝えるのに対し、
「look at」は「I was looking at」や「I could look at」のように過去形や助動詞を使い、控えめに検討の余地を示す表現がよく使われます。

つまり、「look at」自体が控えめなニュアンスを持ち、さらに「could」などの助動詞を加えることで、より丁寧で柔らかな印象になります。

例文
  • I could look at ¥5 million.
    500万円でも検討可能です。
  • We were looking at a price point of around $50.
    大体50ドルくらいの価格帯を想定しています (「price point」は「価格帯」と言う意味)。
  • We could look at the 10th of August if production goes smoothly.
    生産が順調に進めば8月10日も検討可能です。

【年収交渉】 「look for」と「look at」の実践例

面接官:What kind of salary are you expecting for this role?

あなた:I’m looking for a salary of around ¥6,000,000 (=”six million yen”), considering my experience in logistics and trade.

面接官:I see. That might be challenging to offer for this position.

あなた:I understand. In that case, I could look at around ¥5,500,000 (=”five million five hundred thousand yen”), depending on the overall compensation package.

面接官:このポジションでの希望年収はどれくらいですか?

あなた:物流と貿易の経験を踏まえて、おおよそ600万円を希望しています。

面接官:そうですか。その金額を提示するのは少し難しいかもしれません。

あなた:承知しました。その場合は、総合的な待遇条件によっては、550万円前後でも検討可能です。

「overall compensation package」ってどういう意味?

overall compensation package」(または単に 「overall package」)は、給与だけでなく、ボーナスやストックオプション、福利厚生などの総合的な待遇を指します。

給与以外の条件も働く上で大切な場合は、このフレーズの使用がおすすめです。

例文
  • Could you please provide me with more details about the overall compensation package?
    総合的な条件や待遇の詳細について、もう少し教えていただけますか?

【価格交渉】「look at」の実践例

輸入者:We were hoping to stay under $10 per product. 13 (=”thirteen”) is a bit too high for us.

輸出者:I understand. We could look at an 11 (=”eleven”) option given our long-standing partnership.

輸入者:That would definitely help. Would the 11 (=”eleven”) include labeling cost?

輸出者:Yes, it would. The 11 (=”eleven”) includes the labeling cost as well as the product.

輸入者:私たちは、製品1個あたり10ドル以下に抑えたかったのですが、13ドルは少し高すぎます。

輸出者:承知しました。長年のパートナーシップを考慮して、11ドルも検討可能です。

輸入者:それはありがたいですね。11ドルにはラベル費用は含まれていますか?

輸出者:はい、含まれています。11ドルにはラベル費用も製品代も含まれています。

金額の英語表現と発音のコツ

通常は「dollars(ダラーズ)」をしっかり発音しますが、文脈や意図によっては数字だけを言うこともあります。特にお金の話が明らかな場合や、金額そのものにインパクトを与えたい場合には、「dollars」を省略することがあります。

例文
  • We were hoping to stay under $10 (=”ten dollars”). 13 (=”thirteen”) is a bit too high.
    ($13の意味だが、「dollars」は省略し発音していない。)
  • 5,000 (= “five thousand”) is not enough.
    ($5,000の意味だが、「dollars」は省略し発音していない。)

基本ルール:金額などの数量は「まとまり」として単数扱い

英語では、金額や距離、時間、重さなどの数量表現は、たとえ複数の要素を含んでいても「1つのまとまり(a unit)」として扱われるため、動詞は通常単数形を使います。

例文
  • Ten dollars is too low.
    10ドルでは安すぎる。
    → 複数形でも金額全体を1つのまとまりと見なすため、動詞は「is」。
  • Thirteen is a bit too high.
    13は少し高すぎる。
    → 数字そのものを主語にした場合も、単数扱いされるのが一般的。
  • Ten kilometers is a long way to walk.
    10キロは歩くには遠い。
  • Three hours is not enough time.
    3時間では足りない。

よくある例外:「中身」に注目すると複数扱い

注意点:「具体的な構成要素(中身)」に焦点を当てると、複数扱いになることがあります。

例文
  • Three years is a short period.
    三年という期間を “ひとまとまり” として捉えている
    → 抽象的・一般的に「三年という期間は〜だ」と述べるときは 単数扱い(is)
  • The three years since I joined this company have passed so quickly.
    「3年間の中身(年ごとの出来事)」に言及している
    → 具体的な3年、それぞれの出来事に思いをはせているので 複数扱い(have)

【割引交渉】「look at」の実践例

輸入者:What if we increased our order to 1,000 units?

輸出者:If that’s the case, we could look at a 10% discount.

輸入者:That’s good to know. We’d like to move forward with that if possible.

輸出者:Understood. We’ll send you a revised quote with the discount applied.

輸入者:もし発注数を1,000個に増やしたらどうなりますか?

輸出者:その場合は、10%の値引きを検討することもできます。

輸入者:なるほど、それはありがたいです。できればその方向で進めたいと思います。

輸出者:承知しました。では、割引適用後の見積もりを送りします。

【納期交渉】「look at」の実践例

輸入者:Could you ship our order by August 10th?

輸出者:Our standard lead time is two weeks, but we could look at the 10th if production goes smoothly.

輸入者:Thank you. We’d appreciate it if you could aim for that date.

輸出者:Got it. We’ll double-check the schedule and do our best to make it work.

輸入者:注文を8月10日までに出荷していただけますか?

輸出者:標準的なリードタイムは2週間ですが、生産が順調に進めば8月10日も検討可能です。

輸入者:ありがとうございます。ぜひその日程でお願いしたいです。

輸出者:承知しました。スケジュールを再確認して、出来る限り対応いたします。

まとめ

この記事では、「look for」と「look at」の意味の違いと、それぞれが交渉の現場でどのように使われるかについて、実例を交えて解説しました。

  • 「look for」は、転職での面接の場面などで希望額(給与や年収)を伝えるときに使われる表現です。「I am looking for…」の形で、自分がどのくらいの給与を希望しているかを丁寧に伝えることができます。
  • 「look at」 は、金額だけでなく、その他、例えば割引額(look at a 10% discount)や納期(look at the 10th)など、検討可能な範囲を示す表現として使われます。「We were looking at」や「We could look at」のように過去形の表現を使うことで、検討の余地をやわらかく伝えることができます。

転職活動や日々の取引先とのやりとりで、ぜひ使ってみてください!

タイトルとURLをコピーしました