「A級は難しそうで、どこから手をつければいいか分からない…」
そんな方のために、このブログでは、貿易実務検定A級に最短で合格するための勉強法とコツをまとめました。
独学で初回合格した経験をもとに、試験の全体像や効率的な進め方をわかりやすく紹介します。実際に使用した教材は、記事の最後にまとめています。
各科目の詳しい対策は、今後の記事で少しずつ紹介していく予定です。
貿易実務検定A級の難易度は?
A級は、貿易実務検定の中でも最上位の試験のため難易度が高い試験。記述式中心で、平均合格率は約35%前後です。
会場試験という環境も、A級の難易度を上げる要因のひとつです。独特の緊張感に飲まれたり、周囲の受験生がどんどん解き進めるのを見て焦ったり、鉛筆や電卓の音が気になると、集中力を保つのが難しく、思わぬミスにつながることがあります。
私は、静かな自宅だけで勉強するのではなく、あえてカフェなど騒がしい環境で過去問を解き、本番を想定した準備をしました。
なお、A級は年1回のみ開催。不合格の場合は次回まで1年待つ必要があるため、計画的に学習を進めることが大切です。1年に1回しか受験できないことも、本番ではプレッシャーとなり難易度を上げていると思います。
貿易実務検定A級の合格点の目安
試験は3科目で構成されています。
合格ラインは公表されていませんが、C級は80%、B級は70%です。A級は他の級と違って記述式が多いため、合格ラインは低めになると思います。また、実際に受験した経験から、おおよそ60%前後ではないかと考えています。
私は自己採点で65〜70%を取ることができ、無事合格できました。合計で300点(約65%)を取れれば、合格は十分現実的だと思います。
特に英語は配点が150点と大きいため、得意な方は有利に進められるでしょう。
| 科目 | 配点 |
|---|---|
| 貿易実務 | 200点 |
| 英語 | 150点 |
| マーケティング | 100点 |
| 合計 | 450点 |
通関士試験との違い
両試験は一部重なる部分もありますが、出題範囲は異なります。通関士試験ではインボイスなどの一部の書類が英語表記になりますが、英語力やマーケティングの知識は問われません。輸出入通関の知識をより深く問う試験です。
私は商社で貿易実務を経験しており、英語が得意科目です。フォワダーでの経験はありません。そのため、通関業務の知識を問われ、英語科目のない通関士試験の方が難しく感じました。
通関士試験の平均合格率は約15%前後で、合格するための目安は各教科およそ60%程度です。A級と同程度の得点率が必要ですが、合格率が低めに出ています。
A級合格後に通関士試験の勉強を始め、約10カ月かけて挑戦しました。自己採点では、通関業法90%、関税法等75%、通関実務75%と、A級よりも高得点で合格できましたが、勉強期間は長くなりました。
貿易実務検定A級の勉強時間と進め方
C級、B級に合格してから数年が経ち、次はA級にも挑戦してみようと思いました。
私は独学で、1日平均で2~3時間ほどの勉強を6カ月程度続けました。まず公式テキストをじっくり読み込み、その後は過去問を繰り返し解いて理解を深める方法が最も効果的でした。
実際に私が使用したテキストや参考書は、記事の最後で紹介していますので、これから勉強を始める方はぜひ参考にしてください。
貿易実務検定A級に合格するコツ①:「苦手科目の底上げ」
得意科目だけで勝負するのはリスクがあります。試験本番では、緊張感から思わぬミスも起こりがちです。そのため、得意な問題での失点をカバーできるよう苦手科目の底上げをしておくことが大切です。
私自身、比較的得意としていた海上運賃計算の問題でアメリカの都市の位置関係を誤り、計算は合っていたのに答えを間違えたことがありました。
その代わり、苦手科目のマーケティングを一通り勉強し、基本問題を確実に解けるようにしていたため、この失点をカバーできました。
マーケティングは過去問を解いても最初は30%しか取れませんでしたが、基礎を固めて50%まで上げることができました。
また、英語は得意でしたが、法律英語のように苦手な分野もありました。そうした部分も放置せずに勉強することで、科目全体の理解が深まり、得点につながります。
貿易実務検定A級に合格するコツ②:「過去問を解く」
ブログ前半でも書きましたが、まずはA級の公式テキストをじっくり読み込み、その後は過去問を繰り返し解いて理解を深める方法が最も効果的です。
A級では、過去問と似た形式の問題が繰り返し出題される傾向があります。私は過去5年間の過去問を3回繰り返し解きました。少なくとも3年分程度の過去問にトライすることをおすすめします。
各教科のポイント
ここでは、貿易実務検定A級の3科目について、ざっくりとしたポイントをまとめました。それぞれの科目の詳しい傾向と対策は、今後別の記事でご紹介する予定です。
貿易実務
貿易実務分野では、特にL/Cや書類作成と運賃・関税計算への対策が大切です。基本を確実に押さえ、過去問で実践力を身につけることが、合格への近道です。計算問題も毎回出題されます。
- 信用状(L/C)取引の理解
仕組み・用語・実務の流れをしっかり押さえておくことが大切です。 - 書類作成力
輸出入書類にはパターンがあります。 - 運賃・関税計算の対策
計算問題は毎回出題されるため、繰り返し練習しておきましょう。 - 国際税制の基礎知識
難しく見えても基本問題が中心。得点源になりやすい分野です。
英語
英語分野では、契約・保険に関する表現、インコタームズの正確な理解、大きな桁の数字感覚が押さえておきたい重要項目です。
- 契約や貨物海上保険に関わる法律用語
例:effect 「(保険を) 付保する」、in good faith 「誠意をもって」など - インコタームズの正確な英語名と日本語名
例:CIP=輸送費保険料込み(※「運賃保険料込み」は誤り) - 大きな桁の数字の感覚
例:「$3.6 billion」=「36億円」など、数字の感覚も重要です。
マーケティング
マーケティング分野では、基本用語の暗記と計算問題への対応が得点アップのカギです。過去問で出題傾向を確認し、知らない用語は検索して調べ、理解を深めました。
- マーケティング用語とその定義:
SWOT分析、3C分析、PEST分析、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント (PPM)、ブルーオーシャン戦略など。内容は基本的なものが多く、どれだけ用語を覚えているかが得点のカギになります。 - 計算問題:
損益分岐点売上高、GMROI(商品投下資本利益率)、交差比率の計算方法が複数回出題されています。最初は難しく感じるかもしれませんが、計算式を覚えてしまえば、問題4(計算問題)にも十分対応可能です。GMROIや交差比率は理解しづらいと感じる方も多いと思います。私自身は正直、理解できているとは言えませんが、計算式だけはしっかり覚えておいたおかげで、問題には対応できました。理解することがベストですが、試験対策としては「まずは暗記」も十分に有効な戦略だと思います。
参考書

私が実際に使用して良かった教材を紹介します。
- 貿易実務ハンドブック ベーシック版
C級向けですが、アドバンス版で理解が難しい箇所を補うのに最適。アドバンス版には記載が少ない外為法や輸出入貿易管理令の詳細が分かりやすく記載されています。 - 貿易実務ハンドブック アドバンス版
A級・B級対応。ただし、A級の出題範囲を完全にはカバーしていないため、過去問と併用しながら補完が必要です。特に国際税制やEPA税率の条件などはインターネットなどで調べて補強しました。またマーケティングに関しては扱っている内容が少ないため、より幅広いマーケティングの基礎知識を身に着ける必要があります。知らない用語はインターネットで検索して勉強しました。 - 通関士合格の基礎知識
通関士試験用ですが、関税計算や実務問題の理解に役立ちます。上記2冊とは別の角度から説明している部分もあり、理解できなかった部分がすっと腑に落ちることもありました。
最後に
貿易実務検定A級は難関ですが、苦手分野を見極めて底上げし、過去問で出題パターンに慣れることが合格への近道です。焦らず、計画的に取り組めば十分に合格は狙えます。
今後は「貿易実務編」「英語編」「マーケティング編」など、科目別の具体的な対策も順を追って紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
